パワハラ

パワハラとは、法律上の定義はありませんが、一般的には、上司がその職務上の地位、権限を濫用して、本来の職務の範疇を超えて、部下の人格権を侵害するような嫌がらせを行うことをいいます。

違法とされる場合とは

例えば、部下を叱責することは、社会通念上、業務を遂行する上で一定程度許容されると解されているので、それが真に業務の遂行に必要なものであれば、叱責行為を直ちに違法とすることはできません。
しかしながら、業務上の必要性や、行為者の意図・目的、その行為の態様や反復・継続性、被害者の受けた不利益の程度等を総合的にみて、その言動が社会通念上相当とされる程度を超えている場合には、部下の人格権を侵害するものとして違法性が認められています。

パワハラに関する実際の判例

国・静岡労基署長(日研化学)事件(東京地裁平成19年10月15日)

上司が部下に対し、「存在が目障りだ、居るだけでみんなが迷惑している。お前のカミさんも気がしれん、お願いだから消えてくれ」「おまえは会社を食い物にしている、給料泥棒」「お前は対人恐怖症やろ」「肩にフケがベターと付いている、お前病気と違うか」等の発言を繰り返し、その部下を自殺させた事案
→当該発言による心理的負担が、社会通念上、客観的にみて、精神障害を発生させる程度に過重なものと評価するのが相当と判断し、労災認定を行った。

A保険会社上司(損害賠償)事件(東京高裁平成17年4月20日)

上司が原告本人及び職場の同僚十数名に対して、ポイントの大きい赤文字で「意欲がない、やる気がないなら、会社を辞めるべきだと思います。
当SCにとっても、会社にとっても損失そのものです。
あなたの給料で事務職が何人雇えると思いますか。
あなたの仕事なら事務職でも数倍の実績を挙げますよ。・・・これ以上、当SCに迷惑をかけないで下さい。」とのメールを送信した。
→一審では、不法行為の成立を否定。
しかし、二審では、本件メールには人の気持ちを逆撫でする侮辱的言辞が含まれており、同じ職場の従業員らにも送信されていることから、指導・叱咤激励の表現として許容される限度を逸脱し、著しく相当性を欠くとして、不法行為責任を認めた。慰謝料5万円。

ファーストリテイリングほか(ユニクロ店舗)事件(名古屋高裁平成20年1月29日)

ユニクロの店舗に店長代行として勤務していた原告が店舗運営日誌に店長の仕事上の不備を記載したところ、店長から休憩室において、胸倉を掴まれ、背部を板壁に3回ほど打ち付けられ、顔面に1回頭突きされるなどの暴行を受けた。
その後、原告は外傷後ストレス障害(神経症)との診断を受けた。
原告は管理部部長との間で労災の休業補償給付の申請について電話でやりとりをしていたところ、管理部部長より「いいかげんにせいよ、お前。おー、何考えてるんかこりゃあ。ぶち殺そうかお前」と言われ、その直後嘔吐し、病院に救急搬送されたという事案。
→店長による暴行及び管理部部長の上記発言の違法性を認め、不法行為責任を認めた。
損害額として9年分の休業損害1904万円、慰謝料500万円を認めたが、原告の妄想性障害に基づく性格的傾向を考慮のうえ6割を素因減額し、損害額を966万6254円とした。

海上自衛隊事件(福岡高裁平成20年8月25日)

海上自衛隊員である原告が、上司である班長から「お前は三(等海)曹だろ。三曹らしい仕事しろよ」「お前は覚えが悪いな」「バカかお前は。三曹失格だ。」などの厳しい注意・指導を受けて、後日、護衛艦乗艦中に自殺したという事案。
→一審では、本件言動は全体としていじめと評価されるものではないとして、原告は敗訴した。
二審では、「閉鎖的な艦内で直属の上司である班長から継続的に行われたものであるといった状況を考慮すれば、・・・指導の域を超えるものであった」として国の不法行為責任を認めた。実母の慰謝料200万円、養父の慰謝料150万円。

パワハラの解決方法は?

パワハラ事案の解決には、通常、以下のステップを踏むことになります。

1.パワハラの実態について記録すること(証拠化)
パワハラ事案は、業務に関する指導の一環として行われる側面もあることから、その言動が行われた前後関係やその態様、頻度などを詳細に立証する必要があります。従って、メールの保存やICレコーダーでの録音、詳細なメモを毎日取るなど、なるべく多くの証拠を収集しておくことが大切です。

2.弁護士を通じて、警告書を送付する(警告)。
弁護士より内容証明郵便を送付し、加害者にパワハラ行為をやめるよう申し入れをします(内容証明郵便で送付すれば事後の証拠ともなります)。

3.弁護士を通じて、会社側に適切な措置の申し入れ(会社への申し入れ)
事案の内容によっては、会社側に、パワハラをやめさせるよう適切な措置を取るよう申し入れを行うこともあります。

4.労働審判、仮処分、民事訴訟の申立て(裁判手続)
上記の方法で解決に至らない場合には、裁判手続の利用を検討します。なお、在職中は裁判手続を行うことに躊躇する人が多く、退職後に裁判手続に踏み切る人が多いと言えます。

5.労災申請など
近年、パワハラをはじめとする職場いじめにより精神疾患を発症する人が増えてきていることから、厚生労働省は精神障害の労災認定基準を改正し、職場いじめなどのパワハラを強度のストレス要因として認めるようになりました。したがって、パワハラにより精神障害を発症したような場合には、労災申請も検討すべきものといえます。

 

労働問題解決のため、お早めに弁護士にご相談ください

野中法律事務所では、労働者側及び使用者側の労働問題に豊富な経験を有する15年目の弁護士がお客様のご相談ひとつひとつに丁寧に対応します。
土日祝日や夜間の法律相談にも対応いたします
初回相談は30分無料です。一日も早い解決のために、お早めにご相談ください。

労働問題弁護士相談

労働問題を弁護士に相談サイド

このページの先頭へ