労働審判

労働審判とは、平成18年4月1日より新たに導入された制度で、裁判所の行う紛争解決手続の一つです。

労働審判は、解雇や残業代請求などの労働紛争について、裁判官1名と労働関係の専門的知識と経験を有する労働審判員2名(1名が企業の人事部に長年所属していた人など、もう1名が労働組合の活動を行ってきた人などが選任されているようです)で構成される労働審判委員会が、原則として3回以内の期日で事件を審理し、調停を試み、又は審判を行う制度です。

端的に言えば、3回以内の期日で、両当事者から直接、自由に事情を聞いて、和解(金銭的解決)を目指す手続きと言えます。

労働審判の主な特徴は、以下の3点です。
早期解決(迅速性):申立から終結まで平均75日(約2ヶ月半)
柔軟な解決:申立の約88%が金銭解決を中心とした和解的解決
簡易な手続:提出書面は原則として申立書(申立人側)・答弁書(使用者側)のみ、証人尋問などの正式な手続省略。

労働審判の特徴~迅速性

労働審判の良いところは、なんといっても「早期解決」(迅速)という点にあります。
労働審判が導入されて5年以上経過しましたが、労働審判の平均審理期間(申立から終局日)は75日(平成21年2月末現在、最高裁行政局調べ)という司法の世界では驚異的なスピードで紛争解決に至っています。

他方、労働事件の通常訴訟については、手続終結までに平均12.4ヶ月(平成19年)かかっており、また、緊急性を要する労働仮処分などの保全事件についても、仮処分決定あるいは和解成立に至るまでに3ヶ月~6ヶ月程度かかっているようです。したがって、これらの手続きと比較しても、非常にスピーディーであることが分かると思います。

実際、過去の労働審判の経験から言っても非常に迅速に解決に至っており、1回目の期日で和解が成立することすらあります。
労働者側の立場からすると、少しでも早く解決に至るということは非常に大きなメリットであるといえます。

労働審判の特徴~金銭解決を中心とした和解的解決

通常の民事訴訟は、厳格な主張や立証活動によって権利関係を確定していきますが、この労働審判は、法律を踏まえつつ(専門性)、より実情に即した解決(柔軟性)を図ることを目指しています。

例えば、従業員が解雇された場合、従業員は不当解雇を主張して解雇無効を主張するわけですが、実際は解雇を言い渡した会社ではもう働きたくないというのが本音であり、そのような場合には、解雇を撤回して復職させるよりも金銭解決の方ががふさわしいといえます。
労働審判が始まる前には、通常の訴訟でも事実上金銭解決の和解が行われていましたが、労働審判ではこのような柔軟な解決ができるよう手続が整備されました。

裁判所の統計資料によれば、平成18年の労働審判開始以降の終局事件総数4,329件のうち、全体の約7割にあたる3,001件で調停(和解)が成立し、和解ができずに審判にまで至ったものはわずか825件(19.1%)にすぎません。
さらに、審判に至った事件のうち、当事者から異議申立がなされて訴訟に移行した事件は520件(63%)で、全体の事件数の12%にすぎません。
このように、労働審判においては、全体の88%が労働審判の手続によって最終的な解決に至っており、他の訴訟手続や行政機関で行われる紛争あっせん手続などでは見られない高い解決率を誇っています。

また、その解決手法も、金銭的解決が中心となっていることから、金銭解決を望む労働者側にとっては、とても有効な手続きであるといえます。

労働審判は労働者側にとってかなり有効な手続です!

上記のとおり、労働審判は、申立から約2ヶ月半という驚異的なスピードで、金銭解決の和解が行われています。

申立人にとっては、会社側の責任者を裁判所に出頭させたうえ、自分の不満を裁判官らに聞いてもらい、裁判官らに会社側を説得してもらって金銭解決を図ることが可能となっており、非常に満足度の高い手続きとなっています。

したがって、労働者側にとっては、この労働審判手続を大いに活用していくべきではないかといえます。
反対に、使用者側にとっては、解雇等を行う場合には、かなりの高い確率で労働審判の申立がなされることを念頭に置いておく必要があります。

労働審判を申し立てる際、弁護士をつけるべきか?

このサイトを見ている方の中には、弁護士費用を払ってまで弁護士をつける必要があるのか、といった疑問を持つ方がいるかと思います。
この点、東京地裁労働部部長の渡辺弘裁判官が法律雑誌の座談会で以下の発言をしています(ジュリスト2010年10月1日 1408号16頁「個別労働紛争処理の実務と課題」)

「この制度を十全に利用するためには、訴訟における集中証拠調べの経験があり、それに向けての準備を行うについての見通しを立てることのできる弁護士が関与したほうがより望ましいと言うことができます。
実際問題として、一回勝負ということになると、事前準備のやり方の巧拙によって、結論に影響が出る可能性があります。
そういう意味でも、代理人に弁護士を選任して、しっかりとした見通しを持った準備をするほうがよいと言えます。
(中略)全国の統計数字を見ると、弁護士が関与している事件のほうが、調停成立率が有意に高いという結果が出ているようです。
また、率直に言って、調停案の内容は、弁護士の代理人を立てないで本人が申し立てている事例は、もしかしたら解決金が低めになる傾向があるかもしれないという実感がないわけではありません。

やはり裁判官の目から見ても、労働審判には弁護士をつけた方が良いということだと思います。
私の過去の経験からしても、ほとんど全ての依頼者から「弁護士費用がかかりましたが、労働審判をやって良かったです」という声をいただいております。

従って、労働審判を申し立てる場合には、弁護士費用がかかってでも弁護士をつけたほうが良いと思われます。

次に、弁護士に依頼するとして、どのような弁護士に依頼すべきでしょうか?
労働審判は、従来の裁判手続に比べると非常に画期的な手続なのですが、画期的な手続である分、労働審判に固有の手続やノウハウなどがあり、未経験の弁護士では十分に対応できないといった側面があります。
また、労働審判の解決金のレベルについて十分な見通しを持っている弁護士がより好ましいと言えます。

従って、弁護士に依頼する場合には、労働審判に豊富な経験をもつ弁護士に依頼する方がよいと思います。

 

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