労災

労災保険とは、「業務上の事由」又は「通勤」による労働者の負傷・疾病・障害・死亡等について、被災労働者や遺族に対して一定の保険給付を行うほか、労働福祉事業として一定のサービスを行うという制度です。
労働者を1人でも使用する事業所は当然に保険関係が成立し、使用者が労災保険料を支払っていなくても、労働者は保険給付を受けられることになります。

労災の適用に関する判断要素

労働者の被災事由が「業務上の事由」に該当するかについては、次の2つの要素から判断します。
(1)労働者が労働契約に基づき使用者の支配下にあること(業務遂行性
(2)使用者の支配下にあることに伴う危険が現実化したものと経験則上認められること(業務起因性

過労死・精神障害の判断指針

【過労死】
過労死(過労が原因で脳・心臓疾患を発症した場合)について、厚生労働省は、以下のとおり認定基準を改定しました(平成13年12月12日基発第1063号)。
発症直前から前日までの間に異常な出来事に遭遇したこと、
発症前おおむね1週間に特に過重な業務に就労したこと、又は
発症前の長期間(おおむね6ヶ月)にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと、のいずれかの「業務上の過重負荷」を受けた場合に、業務起因性が認められます。

参考:過重負荷に関し、残業時間が発症前1ヶ月間に100時間又は発症前2~6ヶ月間にわたって1ヶ月当たり80時間を超える場合には、業務と発症との関連性が強く、残業が発症前1~6ヶ月間にわたって1ヶ月当たり45時間未満ならば発症との関連は弱いとされています。

【精神障害】
厚生労働省は、精神障害に関する業務起因性の有無について、以下のとおり判断基準を示しました(平成11年9月14日基発第544号、平成21年4月6日基発第0406001号)。
発症前6ヶ月間に業務による強い心理的負荷が認められること、
業務以外の心理的負荷及び個体側要因(既往歴、生活傾向など)により精神障害を発症したとは認められない、ことが認められれば業務起因性が認められています。

労災事件における解決方法は?

労災事件の解決には、通常、以下のステップを踏むことになります。

1.証拠の収集及び証拠の保全
労災事件については、事故発生状況や事故発生時の労働環境の実態把握が非常に重要となります。現場の写真撮影、一緒に働いていた同僚や目撃者からの事情聴取、医師の診断書など、事故発生時の証拠を収集し、保全しておくことが必要となります。

2.労災保険給付の申請
通常は、労災保険給付の申請を先行させることとなります。病院にかかった場合には、健康保険ではなく、労災保険を使うことを申し出て、療養補償給付の請求書を提出します。会社側との示談や民事上の損害賠償請求については、労災保険の給付を受けた後で検討すべきであり、まずは治療に専念することが大切です。

3.民事上の損害賠償請求
労災保険は、会社側の故意・過失の有無にかかわらず、「業務上の事由」に基づく被災であれば給付が認められます。
これに対し、業務災害について事業者に故意・過失や安全配慮義務違反の事実が認められれば、事業者に対し、不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償責任を追及することができます。

請求できる損害としては、治療費などの積極損害、休業損害、逸失利益などの消極損害、慰謝料などが認められますが、既に労災保険によって給付を受けている分については損害額から控除されることとなります。

なお、労災保険給付には慰謝料に相当する支払いがなく、休業補償給付については平均賃金の6割までしか認められていません。
従って、これらの労災保険給付の限度を超える損害を請求する場合には、民事上の損害賠償請求を行うことになります。

 

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