残業代請求のよくある質問 


Q.会社に対して残業代請求をする場合、民事訴訟、労働審判、民事調停のいずれの手続を選択すればよいですか?

A.3つの手続にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、その特徴に応じて手続を選択することになります。弁護士をつける場合には民事訴訟か労働審判の申し立てが妥当であり、弁護士をつけずに本人のみで申し立てる場合には民事調停をお奨めいたします。


【解説】
労働問題の解決に当たって利用できる裁判手続としては、

①民事訴訟と

②労働審判(いずれも地方裁判所の手続)、

③簡易裁判所の民事調停という3つの手続があります。

この三者の手続の特徴は、以下のとおりです。


①民事訴訟:
およそ話し合いの余地がない場合、例えば、会社側が残業代の支払いについて話し合いに応じる可能性がほとんどない場合には、訴訟手続を選択するのが最も適切ではないかといえます。

また、労働審判のように、ざっくりとした残業代の認定ではなく、きっちり認定してもらいたいという要望がある場合には、この訴訟手続を選択することになります。

但し、訴訟手続の場合には判決まで10ヶ月~1年程度の時間がかかること、厳格な証拠調べの手続があることなど、労働者にとっては非常に手間とコストのかかる手続といえます。


②労働審判:
会社側において、表面的には争っているものの、実際は話し合いに応じて残業代を支払う可能性がある場合(裁判所の示した和解金額であれば支払う意思を示している場合)には、公正かつ専門性のある裁判所の手続によって一定の解決案が示される労働審判が適切ではないかといえます。

申立てから3ヶ月ほどで手続きが終了します。


③簡易裁判所の民事調停:
会社側及び従業員側が共に話し合いには応じる姿勢を示しており、具体的な和解金額について食い違いがあるものの、その金額の違いが大きくない事件については、主に両当事者の話し合いをベースにした民事調停が適切ではないかといえます。

最近は、労働審判においても弁護士の代理人を付けない本人訴訟の割合が増えており、そのような事件の中には請求額が50万円にも満たない少額の事件があるようです。そのような事件で労働審判を申し立てると、両者の主張額の食い違いがそれほど大きくないにもかかわらず、会社側としては弁護士費用の負担もしなければならないということで、なかなか和解には応じにくいという場合もあります。

そこで、そのような事件の場合には、労働審判の手続でやるよりも、両者の話し合いを基本とする簡裁の民事調停の手続で早期に和解したほうが経済的にも得であるという場合がありますので、手続選択についてはそのような観点も考慮する必要があるといえます。 

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